キャロル・オコンネル「魔術師の夜」(上)
マロリー・シリーズ第五作。
引っ越し前から放ったらかしになっていた本書を読みはじめて、一気に引きこまれてしまった。
前作までのマロリーは、ただの「クールなヒロイン」だった。幼いころの体験から性格がねじ曲がってるとか、根っからのコソドロとか、これまでにも散々そういった描写はあったわけだけど、あくまでストーリーを彩る脚色、オマケに留まっていたように思う。
しかし、今作の彼女は違う。
自分を信じてくれない上司や周囲の友人たちに敵意を剥き出しにしながら孤軍奮闘。マラカイという天才的奇術師、一枚も二枚も上手をいく相手に翻弄され、ときおり顔を見せる感情に戸惑い、揺れている。いままで冷静沈着だったマロリーの感情が、大きくぶれているからこそ印象深かったのかも。
しかし、今回は相棒のライカーに感情移入してしまった。そりゃ、心配で見ていられないよ。
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